日本の深海から数十の新種発見 日本財団・ネクトンの2025年海洋調査で画期的成果
【概要】2025年に実施された日本財団とネクトン(Nekton)による海洋調査「オーシャン・センサス」で、日本近海の深海から数十種の新種生物が発見された。JAMSTECとの共同探査の成果だ。
【詳細】天体生物学専門サイトastrobiology.comの報告によると、日本財団とネクトンが主導した「オーシャン・センサス」プロジェクトのJAMSTEC(海洋研究開発機構)との合同探査で、水深200mから6,000m超の海域から少なくとも40種以上の未記載種が採集された。新種にはクラゲ、多毛類(ゴカイの仲間)、甲殻類のほか、既知の分類群に属さない「分類不明」の生物も複数含まれる。調査には有人潜水調査船「しんかい6500」と無人探査機「かいこう」が使用された。日本海溝の深部(水深7,500m付近)ではこれまで知られていなかった化学合成生態系も確認された。
【背景・影響】日本は世界第6位の排他的経済水域(EEZ)を持ち、その海底の大部分は未調査のままだ。日本財団の笹川陽平会長は「2030年までに全海底の80%をマッピングする」という目標を掲げている。深海の新種発見は基礎科学の進展にとどまらず、新たな医薬品や産業酵素の開発にもつながる可能性がある。JAMSTECは採集した試料のゲノム解析を進めており、2027年までに正式な種記載論文を発表する計画だ。
AIの視点
🇺🇸 astrobiology.comがこの記事を取り上げたのは、深海の極限環境が地球外生命探査のアナロジーとなるためだ。日本海溝の化学合成生態系は、エウロパ(木星の衛星)の海底で期待される生命形態のモデルケースとなる。記事は「地球の深海にすら未知の生物がこれほどいるなら、宇宙の海にも生命がいておかしくない」という論調で締めくくっている。
🇯🇵 JAMSTECは世界有数の深海探査能力を持つ研究機関で、「しんかい6500」は世界最深の有人潜水調査船だ。今回の調査成果は、日本が海洋科学のフロントランナーであることを改めて示した。政府は「海洋基本計画」に基づき年間約500億円を海洋研究に投じている。新種の生物資源は「名古屋議定書」の枠組みで知的財産権の対象となり得るため、生物多様性の保全と利用の両立が課題となる。
🔍 「オーシャン・センサス」は日本財団が2018年に発足させた「Seabed 2030」プロジェクトの派生事業で、ネクトン(英国の海洋研究財団)との共同運営だ。2000年代に実施された「Census of Marine Life」(海洋生物センサス、10年間で約6,000新種を記載)の後継にあたる。地球の海底のうち高解像度でマッピングされているのは依然として約25%にとどまっており、「月の表面より未知」という指摘は現在も有効だ。
元記事: astrobiology.com