米国、重要鉱物の価格下限設定でEU・日本と交渉進展 中国支配への対抗策
【概要】米国がEUおよび日本との間で、リチウムやコバルトなど重要鉱物の国際価格下限(プライスフロア)設定に向けた交渉を前進させた。中国による市場支配と価格操作への対抗が狙いだ。
【詳細】ブルームバーグが複数の交渉関係者の話として報じたところによると、米商務省とUSTR(通商代表部)がEU・日本の担当者と3月上旬にワシントンで協議し、リチウム、コバルト、ニッケル、レアアースの4鉱種について最低価格保証メカニズムの骨子で合意に近づいた。この仕組みでは、国際価格が一定水準を下回った場合に三極で補助金を供給し、中国以外の鉱山・精錬業者の採算を確保する。トランプ政権は「友好国サプライチェーン構築」を通商政策の柱に据えており、価格下限は西側の鉱物生産を維持するためのセーフティネットとなる。
【背景・影響】中国は現在、レアアースの精錬で世界シェアの約70%、リチウム加工で約65%を握っている。過去にも価格を意図的に引き下げて競合国の鉱山を廃業に追い込んだ前例がある。日本はレアアース輸入の約6割を中国に依存しており、2010年の尖閣諸島問題での禁輸措置がトラウマとして残る。価格下限が実現すれば、豪州やカナダの鉱山投資を後押しする効果が期待される。
AIの視点
🇺🇸 ブルームバーグは、トランプ政権が関税だけでなく「価格下限」という新たな産業保護ツールを開発している点に注目した。記事は自由貿易原則との矛盾を指摘しつつも、中国の市場支配力を考慮すれば「必要悪」との見方が米産業界に広がっていると伝えている。
🇯🇵 日本は2010年の中国レアアース禁輸を契機に、代替技術の開発やオーストラリア・カナダとの供給源多角化を進めてきた。経産省は「重要鉱物確保戦略」を2023年に策定し、JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)を通じた海外鉱山への出資を拡大している。価格下限メカニズムへの参加は、この戦略を多国間枠組みに格上げする意味を持つ。
🔍 重要鉱物の価格下限は農業補助金に近い発想で、WTO(世界貿易機関)ルールとの整合性が論点となる。ただし、WTOの紛争解決機能は上級委員会の機能停止で事実上麻痺しており、法的な異議申し立ては困難だ。中国はすでに2023年にガリウム・ゲルマニウム、2024年にアンチモンの輸出規制を発動しており、鉱物資源の「武器化」は進行中だ。
元記事: Bloomberg